※手付金の貸し付けを受けると、物件の購入を検討しているお客さんは大きな不利益を受けてしまいます。
手付け貸付等による契約締結誘引の禁止 【てつけかしつけとうによるけいやくていけつゆういんのきんし】 って何ですか?
これは契約締結時における規制の中のルールの一つね。
宅建業者は、その業務に関して手付について貸付けその他 信用の供与をすることにより、契約の締結を誘因する行為を してはならない。 (宅建業法47条3号)
ちなみにここでいう信用の供与っていうのは、 分割払いor約束手形のことね。
ははぁ。
かんたんに説明すると、宅建業者(不動産会社)がお客さんに手付金を 貸すことを禁止しているのよ。
んん?どうして手付金を科すことが禁止されちゃうんですか? 貸してくれるなんてとても親切で良い業者なんじゃないかと思いますけど。
ところがどっこい。 これは素人がひっかかりやすい巧妙なワナなのよね。
えっ?巧妙なワナ?いったいどういうことですか?
例えばね、ゆーいちがある物件に興味があって、 見に行ったら買いたくなって手付金を払ったとするわよね?
はいはい。
不動産取引でいう手付金は法律的に言うと"解約手付"っていうもので、 もし後になって契約解除したくなった場合、その手付の権利を放棄する、 つまり宅建業者にあげなければならないわ。
それはわかりますよ。でも何か問題があるのでしょうか?
おおありよ。もしね、宅建業者が強引に契約を急がせて、 「手付金を貸しますから契約してください」って言われたとするわよね。 そしてゆーいちは手付金を借りて契約しました。
問題はここからよ。この状態でゆーいちが契約を解除したら どうなるとおもう?
えーっと、解約手付だから、手付金を放棄すればいいんじゃないでしょうか? でもあれ?手付金は宅建業者から借りてるんでしたっけ。 借りてるものを返してそれを放棄する・・・かな?えー、よくわかりません・・・。
わかりにくいかもしれないけど、この場合、ゆーいちが借りた 手付金の権利をゆーいちが放棄しなければならないの。 そうするとね、ゆーいちは業者から借りた手付金分の借金が 残るということになるわ。
借金が残る、ですか?
そう、つまりゆーいちは業者に手付を借りているから実際に お金を払ってはいない。 それに借りたお金は手付になっているから 業者からお金をもらってもいない。 それなのに放棄だけをしているから、業者に借金を返さなければ ならない状況になっちゃうのよ。
えええ?なんですかそれはっ!
そう、これが手付金を貸す不誠実な宅建業者の巧妙なワナなのよ。 「手付金を貸します」って言ってお客さんに無理やり契約させてしまえば、 不誠実な業者は相手が契約しても、契約を解除してもどちらでもかまわない。 だって解除した場合でもお金が入ってくるってわけなんだからね。
なんかすごいトリックか手品みたいですね。
かつてはこうやって不動産取引にあまりくわしくないお客さんを 無理やり契約させることによって利益を出している不誠実な 宅建業者もいたのよ。でもこれじゃ安心して不動産の契約が できないわよね? こういう不誠実な行為を禁止するためにこの条文ができたのよ。
宅建業者の不誠実な契約誘引を禁止するための条文だったんですね。
そういうことね。
・宅建業者(不動産会社)は、その業務に関して手付について貸付けその他信 用の供与をすることにより、契約の締結を誘因する行為をしてはいけません。 ・これは解約時にも宅建業者にお金が入ることを利用してもうける 不誠実な宅建業者の行為を防止するためのルールです。